「地震は天災です。」 「でも倒壊した建物の下敷きになって人が死ぬのは人災です。」

せっかく震災後の能登半島を見て来たのに、まったく書かないのも変ですよね

ちょっとだけ書きたいと思います。

珠洲市の海岸近くの元住宅地の写真です。

ここも震災前は、住宅が建ち並び住人達の声が響いていた筈です。

写真の反対側には海岸が拡がっていますから、明るく風光明媚な住宅地だったと思います。

でも現在は写真の通り、ほとんどの建物が焼失もしくは倒壊した状態のまま放置されています。

写真には基礎しか写ってないでしょ

当日は天気が良かった事もあり、とっても長閑だったんです。

時折上空から鳥のさえずりも聞こえてきたりして・・・。

でも、そこには人の営みが感じられませんでした。

震災で街がひとつ、無くなったんだな・・・。

もちろん健全な状態で残っている建物もあれば、一部を損傷した建物もあります。

でも大半は倒壊し、後から来た津波で流されてしまいました。

倒壊した建物と倒壊しなかった建物の違いって、なんだったんでしょうか

もちろん明確な答えは、まだ出ていません。

でも、想像は出来ると思うんです。

明確な答えが出ていないからと言って、同じ事を繰り返す訳にはいかないでしょ

過去の震災の例を活かしつつ、出来る事から手をつける必要があると思うんです。

熊本地震における木造住宅の建築時期別の損傷具合を比較した資料です。

ここで注目して欲しい点が、いくつかあります。

まず見て欲しいのは、建物の損傷ランクです。

倒壊→全壊→大規模半壊→半壊→一部損壊→無被害というランクがあり、右にいくほど被害が少なくなります。

図の損傷イメージを見ると、被害状況を想像しやすくなると思います。

ちなみに建築基準法で守られている耐震性能は、震度6強から7の地震に遭った際に倒壊しないこと。

だから全壊なら、問題ないんです。

しかも、一度の揺れに耐えれば良いんです。

余震で倒れても、建物性能に問題有りとはなりません。

こんなのおかしいでしょ

この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて

国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

建築基準法の第1条を挙げてみました。

ここで言う最低の基準が『1度の震度6強から7の揺れで倒壊しない』だったなんて・・・。

生活者の立場に立てば、せめて半壊程度、出来ることなら一部損壊に留めて欲しいと思う筈。

2度目、3度目の揺れを考えれば無被害が望ましいと思う筈です。

ちなみに熊本地震の際には、16棟の耐震等級3の建物のうち14棟は無被害でした。

こんな結果を見ると、まずは耐震等級3の建物をつくるべきですよね・・・。

建物の構造安全性レベルを確認する為には、上図のように3パターンの確認方法があります。

①構造計算(許容応力計算など)

②性能表示計算

③仕様規定(壁量計算・四分割法・N値計算など)

①②③の順に構造安全性レベルは低くなりますが、担当する設計者に要求される能力や業務は増えます。

当然、費用にも差が出ます。

だから「構造計算は高いから、やめよう」なんて発言も出る訳です。

でもこんな資料を見せられたら、そんな考えを改める事になると思います。

資料の説明を簡単にしておきます。

壁量計算は①、耐震等級(仕様規定)は②、耐震等級(許容応力度計算)は③を示しています。

そして青い棒グラフが、それぞれの建物の耐震性能を示しています。

もちろん、上に行くほど耐震性能が高くなります。

耐震等級1の建物は、先程の『1度の震度6強から7の揺れで倒壊しない』建物を指します。

この建物の壁量を1.25倍にすれば、耐震等級2。

1.5倍にすれば、耐震等級3になります。

耐震等級3同士であれば、①でも②でも③でも変わらない気がするでしょ

でも残念ながら違うんです。

耐震等級3同士で比較すれば、①の耐震性能は1.25と1.50の間になっているでしょ

これが②であれば1.50から1.75の間になります。

そして③になると、さらに強くなります。

同じ耐震等級3なのに、おかしいですよね・・・。

こんな資料を見ると、許容応力度計算による耐震等級3が取りたくなります。

だって、その方が安心出来るでしょ

建物をつくる立場の者として、当たり前の事だと思うんです。

だから勝手に耐震等級3の家しかつくらないと決めてしまいました。

自分たちのせいで、お客様の家が倒壊したなんて絶対イヤでしょ

構造塾の佐藤塾長が言っています。

「地震は天災です。」

「でも倒壊した建物の下敷きになって人が死ぬのは人災です。」

大地震が起こった事を責める事は出来ません。

でも大地震で建物が倒壊した事は、誰かの責任なんです。

基準法をつくった行政の責任なのか、設計者の責任なのか、工務店の責任なのか・・・。

基準法通りに建物をつくっていれば問題ないんでしょ

なんて無知な設計や工務店は、行政と同罪ですよね・・・。

佐藤塾長は、更に言います。

「震災があっても動物は死にませんよね

「被害に遭うのは大抵、人なんです。」

「建物の中にいる動物は死んじゃうかも知れませんが・・・。」

つまり地震に弱い建物が倒壊するから人が死ぬ訳です。

もし建物に住んでいなければ、地震で死ぬ事はありません。

病気で死んでしまうかもしれませんが・・・。

どうせ建物を建てるなら、人災を起こさない建物にしよう

という事だと思うんです。

でもこんな話を聞いてもイマイチピンと来なかったんです、一昨日までは・・・。

でも能登半島の長閑な現状を見て、強烈な喪失感そして無力感を味わうことになりました。

工務店の責任って、かなり大きいですよね。

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