『氷山の一角』という諺に因んで、ライフサイクルコストを説明しています。

今日は第1火曜日につき、アセットフォーはお休みです。

でも今回は、ちょっと真面目な話を書こうと思います。

普段はあまり書かない、お金の話です。

ローコスト住宅という言葉を聞いた事があると思います。

試しに「ローコスト住宅とは」と検索すると、こんな事が書かれていました。

一般的にいわれているローコスト住宅は、広さが35坪程度で1,000万円台、坪単価でいうと30万~50万円くらいの住宅のことをいいます。

部材や設備の大量一括購入を行ったり、設計・施工のシステムを合理化したり、プランやデザインを限定した「規格型」住宅にするなど、家づくりのさまざまな工程でコストダウンを図って、比較的安い価格を実現しているのが特徴です。

安い理由は各社それぞれにありそうですが、簡単に言えば『初期投資を安く済ませる事が出来る住宅』と考えて良さそうです。

さあ、ココからが本題です。

ここで皆様に考えて貰いたい事があります。

住宅を購入するに当たり、初期投資を安く済ませる事が出来る住宅であれば良いのでしょうか

話が大きくなりそうなので、まずは換気システムのトータルコストを例に考えてみたいと思います。

上図は日本住環境㈱の資料から抜粋したもの。

『氷山の一角』という諺に因んで、ライフサイクルコストを説明しています。

ちなみに目に見える部分は、全体像のほんの一部にすぎないという意味で使われるのが、『氷山の一角』です。

ここからは、図の説明となります。

海上に見えているのは、いわゆるイニシャルコストです。

①換気システム本体費

②部材費

③施工費

これに運賃等も加わります。

これらが先述の初期投資に当たります。

見積書に明細が載っているので、A・Bどちらの換気システムが安いのか簡単に比較する事が出来ます。

でも実際には、それ以外の費用も掛かる筈でしょ

これが海中にある見えにくい部分です。

図では

①換気システムの電気代

②冷暖房費

③フィルター交換費

④本体交換費

が挙げられています。

ランニングコストやメンテナンスコストなんて言い方をする事もあります。

上から順に例を挙げてみたいと思います。

①はわかりやすいと思います。

換気システムの消費電力です。

例えば3種換気の消費電力に比べて、1種換気(熱交換タイプ)の消費電力は大きくなります。

前者が150円/月に対して、後者が500円/月という具合です。

これに対して②の冷暖房費は少し、わかりにくいかもしれません。

3種換気は汚れた空気を外に捨てた分、新鮮空気を建物内に取り込みます。

この時に、暑い空気も冷たい空気も、そのまま取り込んでしまうので、室温に与える影響が大きいんです。

一方、熱交換タイプは捨てる空気と取り込む空気の熱を交換する事で、室温に与える影響を小さくする事が出来ます。

だから快適な室内環境を維持するための冷暖房費が、前者に比べて少なくなります。

③もわかりやすいと思います。

3種の場合、自然給気口の数だけフィルターが必要になります。

一方熱交換タイプの場合は、本体内に給排気それぞれのフィルターがあります。

どちらが高いのかで判断してください。

フィルターの寿命や交換時期の違いにもよりますし、交換手間も違って来ます。

事前に調べておく必要があると思います。

④も重要です、10~15年程度で本体更新やモーター交換等が必要となるからです。

機器代に施工費を加えると、結構な金額になります。

また熱交換タイプであれば、給気ダクトのクリーニングが必要となる場合もあります。

これら①~④の費用を算出し、これに初期費用を加算した『ライフサイクルコスト』を比較しなければ、本当の比較にはならないんです。

ルフロ400の資料では、こんな比較をしていました。

住宅の場合も同様です。

イニシャルコストが安くても、ランニングコストが高ければ、ライフサイクルコストは高くなってしまうかも知れません。

ランニングコストって、電気代の高騰や商品の値上げにも影響を受けます。

消費電力が少なくて、設備更新が少なくて済む商品を選択した方が有利でしょ

故障が少なく、メンテナンスコストの掛からない商品を選択する事も重要です。

結局、氷山と同様に見えない部分の方が問題だったりするんです。

見える部分で評価すると、困った事になるかも知れませんよ・・・。

可能であれば、ライフサイクルコストを試算してもらいましょう。

そして比較してください。

あなたの選択が本当のローコスト住宅かどうかを判断する事が出来ます。

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