耐力壁の話をアレコレ書いてみました。

板橋で工事中の『FPの家 M邸』の工事写真をご覧ください。

FPウレタン断熱パネルの外側に、耐力面材を張り始めています。

と言っても、まだ仮付けの段階なんです。

全ての釘を所定の位置に留め付けた訳ではありません。

今回採用したのは、吉野石膏の『EXハイパー』。

せっこう系の防火・耐震パネルです。

このところ、『EXプログレ』ばかり使っていましたが、今回は耐火性能の関係で認定上採用することが出来ませんでした。

EXハイパーとEXプログレって、同じ厚さ・幅・長さがでも1枚あたりの重量が違うんです。

写真の通り、前者は21kg/枚に対して後者は19.5kg/枚。

わずか1.5kg/枚とは言え、大工さんにしてみれば大事のようです。

「いつもより重くて、大変だよ💦💦💦」

顔を見るなり、文句を言われてしまいました。

「荷揚げ屋の奴ら、文句言わずに揚げるんだからたいしたもんだよ

おっ、珍しく他人を誉めてる・・・。

だったら、あなたも文句言わずに頑張ってね。

そう心の中で呟いていました。

でも今回納品された枚数は125枚ほど、1枚あたり1.5kgも違っていればトータルで187.5kgの差になります。

文句言いたくなるのも、仕方ないのかな・・・。

「悪いけど、頑張ってね

そう伝えて、話題を変えました。

 

耐力面材を張るためには、事前にやっておかなくてはならない事があります。

例えば、筋違プレートや柱脚・柱頭金物の取付です。

これらを取付けておかないと、耐力面材を張ることができないでしょ

 旧デザインのFPパネル

FPパネルには、筋違入りパネルの設定もあります。

片筋違・襷掛け筋違の2タイプありますが、それぞれに壁倍率が設定されています。

例えば片筋違(45×100筋違)タイプの壁倍率は、3.7倍でした。

なぜ過去形かと言えば、この値は以前に認定を受けた時のものだからです。

現行パネルに関しては、認定を受けておりません。

また正式な壁倍率に関しても、公式発表を控えている段階なので・・・。

一般的な片筋違(45×90筋違)の壁倍率は2.0倍ですから、1.7倍ほど耐力壁長が長くなる訳です。

でも弊社では3.7倍ではなく2.0倍とし、これに耐力面材の2.7倍を加えて4.7倍として計算しています。

また筋違の入っていない標準パネルも認定上2.1倍という壁倍率になっています。

でも弊社では、これを0倍として計算。

筋違入りパネルの1.7倍や標準パネルの2.1倍は、地震時の余力としている訳です。

ちなみに弊社の建物は、全棟許容応力度計算による構造安全確認を行っています。

そして、常に耐震等級3の耐震性を確保しています。

でも、この中にFPパネルの余力分は入っていません。

以前の法律では、余力分を計算に入れてはならなかったからです。

あっ、ここでいう余力とは耐力壁としてカウントできない準耐力壁の事を差しています。

従来は窓上や窓下の小壁、巾の狭い壁等を耐力壁としてはカウントできなかったんです。

耐力が確認できない以上、それをカウントできないのは仕方ないでしょ

いっぽう先程のFPパネルの余力に関しては、ちゃんと認定上の耐力が期待出来ます。

ここが大きく異なる訳。

でも、これらの準耐力壁は地震の際には、耐震性に対してプラス方向に働く筈でしょ

だったらカウントしても良いんじゃない

という訳で、4月の基準法改正時に準耐力壁のカウントがアリになりました。

でも、これって変じゃない

今までカウントしていなかった壁をカウントした分、結果的に従来の耐力壁長を短くする事が可能になるでしょ

実際にはカウントしていなかった準耐力壁も地震時には効いていた訳だから、むしろ弱くなったんじゃないの

地震に対する余力って、イザという時の保険みたいなものでしょ

保険に入るのを止めて、その分のコストを建物に回したようなものです。

これを経済設計なんて言ってる人がいたら怖いですよね・・・。

もちろん弊社では、準耐力壁のカウントはしません。

FPパネルの余力と共に、イザという時の保険とします。

法的には耐震等級3の耐震性しかないけれど、実際には、それ以上の耐震性が期待できる訳です。

これを以前から『耐震等級3』と呼んでいました。

でも、これからは余力の分も加えた耐震性と加えない従来の耐震性の2つを計算する事になります。

ただし加えるのはFPパネルの余力だけ、準耐力壁の分は従来通り加えません。

耐震等級は3だけど、余力の分を加えた耐震等級は〇と言えるようになる訳です。

現在のところ、耐震等級1の1.25倍を耐震等級2、1.50倍を耐震等級3と呼んでいます。

だとしたら便宜上、1.75倍を耐震等級4、2.00倍を耐震等級5と呼んでも差支えないのかな

耐震等級3+を耐震等級4とか5と呼ぶ事ができれば、その方がわかりやすいですよね・・・。

その為の勉強を始めました。

皆様に説明できるように、根拠もしっかりと固めたいと思います。

もう少しだけ、お待ちください。

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