真空断熱材の弱点のひとつは真空度低下による性能低下です。

皆さんも『真空断熱材』という言葉を聞いた事があると思います。

内部を減圧して真空状態とし、気体による熱伝導をほぼゼロに近づけた非常に高い断熱性能を持つ素材です。

 VIP-A

旭ファイバーグラスの真空断熱材ビップエース(VIP-A)が有名だと思います。

真空断熱材用に特別に開発されたグラスウールを芯材に用い、その周囲を真空状態にする事で、気体による熱伝導を限りなくゼロに近づけています。

ちなみに、その熱伝導率は0.0025W/m・K。

FPパネルの熱伝導率が0.019W/m・Kですから、桁がひとつ違うでしょ?

熱伝導率は値が小さいほど熱を伝えない事を示すので、前者の方が後者よりも相当高性能という訳です。

 熱伝導比較

一般的な断熱材と比べても、その断熱性能は群を抜いています。

でも、どのくらい高性能かと聞かれてもピンと来ないでしょ?

そこで他の断熱材と、それぞれの熱抵抗で比較してみようと思います。

例えば厚さ105mmのFPパネルの熱抵抗は5.5になります。

一方、VIP-Aで熱抵抗5.5を実現するための厚さ13.75mm。

びっくりするくらいの薄さですよね?

こんなに薄くて高断熱なら、是非使いたくなるでしょ!

もちろん私も使いたくなりました。

でも実際には、住宅用の断熱材として使っている工務店は少ないと思うんですよね・・・。

詳しくは書かないけど、メリットよりもデメリットの方が多いからなんだと思います。

 

例えば、私の手元にこんなチラシがあります。

 WACONのバキュプライム

WACONのバキュプライムという『シリカ系真空断熱材』を説明しています。

バキュプライムはシリカ系素材を使用した真空断熱材パネルとの事。

真空断熱材の構造は、こんな感じです。

VIP-Aもバキュプライムも、ガスバリアフィルムやヒートシールに違いはありません。

違うのは芯材のようです。

その違いを挙げてみましょう。

以下、WACONのHPからの抜粋となります。

高性能な真空断熱パネルにとって、とても重要なことがあります。

それは、パネル内部を真空状態に保つことです。

弊社の真空断熱パネルVACUPRIMEは、およそ101から102Pa以下の真空度で製造しています。

一方で、我々が暮らしている気圧は1気圧、つまり105Paの環境になっています。

真空断熱パネルの性能を維持するためには、その圧力差(実に1000倍以上)を保つ必要があります。

そして、そのためには以下のことに留意しなければなりません。

①真空断熱パネルの内部には圧力差に耐えられる芯材を封入する。

②その芯材は後々に有機ガスを排出しない無機物とする。

③外からパネル内部にガスや分子が侵入しないようにバリア性の高いフィルムで覆う。

これらの条件を満たすために、一般的に芯材には2種類の素材が使われています。

グラスウール系

内圧が上昇すると繊維状の芯材間で気体分子が移動しやすくなり、熱が伝わりやすい。

日本では冷蔵庫に多く使われている。

シリカ系

内圧が上昇しても粉体同士が密接に位置し、気体分子の移動が妨げられ熱が伝わりにくい。

この芯材の違いによって、真空断熱パネルの性質は大きく異なります。

特に、その差は長期的な性能変化に顕著です。

そして、こんなグラフが挙げられていました。

製造後4年間の熱伝導率変化を示したグラフです。

製造後50年間の熱伝導率変化を示したグラフです。

なお、このグラフはWACONが測定した結果に基づいたデーターであり、10年目以降のデーターに関しては予測値なんだそうです。

どちらのグラフを見ても、VIPの変化が大き過ぎるでしょ!

真空断熱材の弱点のひとつに挙げられる『真空断熱材の真空度低下による性能劣化』を確認できるデーターだと思います。

これを見ちゃうと、このままでは住宅の断熱材としては使えませんよね?

だって10年超で硬質ウレタンフォームの熱伝導率に並び、その後少しずつGW断熱材に近づき、最終的には上回ります。

初期性能の高さから薄くする傾向にあるので、こうなると『ほぼ無断熱』です。

家電のように比較的寿命の短い製品にしか使えません・・・。

うっかり使えば、10年を待たずして断熱改修が必要となります。

何らかの理由で断熱材を薄くしなければならないのであれば、バキュプライム一択ですね。

これなら劣化を気にする必要も無さそうです。

あとはコスパだな?

バキュプライムのページを挙げておきます。

ご興味のある方は、ご確認ください。

https://www.wa-con.co.jp/vacuprime/

基礎断熱に使いたい!と思い、メーカーに確認した事がありますが、良い返事は戴けませんでした。

コンクリートからの初期放出水分による結露防止や、外部からのシロアリ侵入対策が必要な事。

ガスバリアフィルムが傷に弱いため、保護対策が必要な事。

等をかなり気にしていました。

残念!

でも発泡系断熱材の真ん中に入れて、周りを発泡系断熱材で囲めば問題を解決できそうでしょ?

実際に現場発泡ウレタンと組み合わせて高断熱を実現している工法もあると聞いています。

今後に期待したいと思います。

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