医学と建築学が明らかにした住宅の断熱性能と健康との関連 5

前回に引き続き、堅苦しい話をお届けします。

今回は、温熱環境と脳血管疾患の関係お話です。

上図は平成17年の脳血管疾患の都道府県別年齢調整死亡率です。

昔は脳血管疾患の原因は、塩分の摂り過ぎる食生活にその原因があると言われました。

現在でもまだ塩分原因説は生きており、様々な減塩運動のお陰で東北地方の秋田・宮城・山形県の女性の脳血管疾患は年々減少しており、減塩運動もある程度の効果はあったようです。

でも世界で最も塩分を摂取している我が国が、世界一の長寿国でイギリスなど欧米の低塩国が20位くらい、塩分摂取量が日本に次いで世界2位の中国は80位程度ですから、塩分摂取量以外にも脳血管疾患を引き起こす原因はあるのではないでしょうか。

様々な角度から調査が進む中、東北以北の寒冷地で食生活も同じ漬物や塩蔵類の魚や魚卵を摂取する北海道の、脳血管疾患の患者が男女とも低いことが注目されました。

確かに塩分の摂り過ぎによる高血圧症が脳血管疾患の発症に及ぼす影響は大きいものの、急激な室内の温度変化(ヒートショック)が直接的な発症原因であることがわかってきました。

住宅の温熱環境に問題がある事がわかり、いち早く住宅の高断熱・高気密化が図られた北海道では、冬季でも無暖房室(トイレ・風呂・洗面所等)を含めた住宅全体の室温が高く、温度差の少ない住宅環境を実現しています。

こうした環境が、塩分濃度の問題よりもヒートショックの予防に役立っていたのです。

それに比較して、温暖地でありながら脳血管疾患の多い鹿児島県や高知県の調査からも、塩分の摂取量よりも住宅の断熱性能に問題がある事もわかってきました。鹿児島県や高知県は年間の平均温度が高い温暖地ではありますが、1~2月中旬までは外気温が5度を下回る日も少なくありません。山間部に属する地域では0度以下になって積雪になる日もあります。

このように寒い時期があるにも関わらず、北国とは異なり寒さは短期間で収束するため、ひたすら我慢の生活を過ごしてきた結果であると言えます。

脳血管疾患を予防する為には、地域を問わず無暖房室を含めた室温が10度以下にならない住環境を実現する事が必要です。

以下は、慶応義塾大学伊香賀俊治研究室による「高知県、山口県における先進的な住宅と健康に関する調査と取り組み」の中から抜粋したものです。

室温低下による血圧上昇は、高齢者になるほど大きくなるというデーターです。

無断熱の住宅から次世代省エネ基準の住宅に住み替えた事による居室の最低室温の上昇および、最高血圧の変化を表したデータです。

いずれのデーターを見ても、先述の考察を裏付ける結果となっています。

次回は、高断熱化で脳血管疾患は確実に低下するというお話です。

引き続きお付き合いいただけますよう、よろしくお願いします。

 

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