医学と建築学が明らかにした住宅の断熱性能と健康との関連 18

毎回毎回、堅苦しい話をお届けしています。

今回は、思い込みによる痩せガマンというお話です。

建物の断熱性能を示す熱損失係数(Q値)と室温の標準偏差の関係を示した図です。

この結果から、建物の断熱性能が低く(Q値が大きく)なると室温の標準偏差が大きくなり、住宅内に温度のバラツキが顕著になる事がわかります。

冬期間、暖房のライフスタイルは地域により大きく異なると考えられますが、温暖な地域ほど室温のバラツキに寛容になり、寒さに耐えながらの生活をしている点が実に興味深いものになっています。

我慢できないほどの寒さであれば、断熱をして暖房する事は当たり前になっていますが、温暖地域に生活している人々は、自分の住む地域は寒くないという思い込みがあるようです。

しかし冬の天気予報を見ていますと、寒冷期間は沖縄などの南方の離島を除いて、北は北海道から南は九州の鹿児島まで雪がちらつきます。

寒冷地では当然暖房していますが、九州ではそれでも無暖房で頑張っている地域もあります。

脳血管疾患の羅漢率が南九州や四国の温暖地域が東北と同様に多いというのも、このような自分達が暮らす地域は寒冷地と違い温暖地域だと言う思い込みから来ているように思えます。

住宅の温熱環境の改善は、寒冷地では新築時に必要な「当たり前の技術」となっています。

でもそれは、温暖な地域にこそ必要な技術であり、そのための対策が必要だと考えられます。

最初の図の北海道(□)は一か所を除き、Q値=0~1+αの間に入っていて室温の標準偏差も2~3+α度以内に全てが入っています。これは全館暖房の住宅である事を示していると思われます。

東北の住宅(○) は2か所を除いて、Q値はほぼ北海道と同じですが室温の標準偏差は2~7+α度とバラバラになっています。これは、東北の住宅は個別暖房が多い事を示していると思われます。

関西の住宅(●)もQ値=1~3の間にありますが、室温偏差は4~7+α度でほとんどが個別暖房である事がわかります。

九州や関東の住宅もQ値=1.5~3.5の間に集中していますが、室温偏差は4~7+α度でこれも個別暖房が多い事がわかります。

Q値的に次世代省エネ基準を満たしていても、室温に温度偏差があっては決して健康的な温熱環境で暮らしている事にはなりません。Q値の高い「高性能住宅」を建てた場合は、施工店が北海道のような全館暖房で暮らす「暮らし方」を建て主にレクチャーする必要性を強く感じます。

次回は、全館暖房と部分暖房の違いというお話です。

引き続きお付き合いいただけますよう、よろしくお願いします。 

 

  https://www.assetfor.co.jp
  posted by t.arai 

  東京都練馬区北町2-13-11
     03-3550-1311
 東武東上線 東武練馬駅下車5分

練馬・板橋で注文住宅を建てるならアセットフォーへ資料請求
練馬・板橋で注文住宅を建てるならアセットフォーの見学会へ
  • 練馬・板橋で注文住宅を建てるアセットフォーのFacebook
練馬・板橋で注文住宅を建てるアセットフォーのホームページTOPへ