医学と建築学が明らかにした住宅の断熱性能と健康との関連 19

毎回毎回、堅苦しい話をお届けしています。

今回は、全館暖房と部分暖房の違いというお話です。

上図は室内の最低基準室温の累積確立と平均室温、年間暖房負荷の関係を全室暖房と部分暖房で比較しています。(札幌市に建つQ値2.0の住宅の場合)

最低基準室温の累積確立とは、例えば17度を下回る確率を0.1(10パーセント)とした場合、最低基準室温の累積確立が増加すると(0.15になると)平均室温及び年間暖房負荷は減少し、減少すると(0.05になると)平均室温及び年間暖房負荷は増加します。(簡単に言えば、年間暖房費をケチると平均室温が下がり、最低室温が17度を下回る確率が上がります。逆に暖房費を増やせば平均室温は上がり、17度を下回る確率が下がります。という事だと思います。)

室内の温度環境の質を低下させると、年間暖房負荷が低下するのは当たり前ですが、興味深いのは全室暖房の方が部分暖房よりも平均室温が低く年間暖房負荷が少ない事です。

これは,高断熱化が図られた住宅においては、全室暖房により室内の温度分布が均一になる事で、平均室温を低くする事が可能になり省エネに繋がる事を証明しています。

補足すると、全室暖房にすると室温が低くても室間の温度変化が少ないので、ヒートショックによるストレスを感じることなく、ある程度の温度(18度)があれば体を動かせ、寒さを感じない生活が可能になります。

それに対して部分暖房の場合は、ある程度の温度(20度)がなければ、運動量が少なく寒さを感じてしまいます。

欧米と比較して我が国の場合は、石油・ガスストーブ等の個別暖房装置が普及してきました。住宅が高性能化しても、全室暖房が採用されず部分暖房が採用されるのは、持ち運びに便利な各種ストーブの普及による事が大きいと考えられますが、この事が我が国の省エネルギーや温熱環境が健康に与える影響を低くしている原因になっています。

全室暖房で18度程度の室温を保つ事が健康で動き易い住環境だと認識している欧米に対して、部分暖房が一般的な我が国では、リビング等の一室を高温にして折角の全室暖房に耐えうる住宅を無駄にしています。

寒冷地では、高温にしたリビングで夏と同じ格好で生活している方もいます。

もうそのような無駄は止めるべきです。

欧米のようにカーディガン等を羽織って、室温18~20度程度で生活する。

こうした全室暖房を普及させる、健康で省エネな「暮らし方」の教育が必要なのかもしれません。

次回は、断熱性能が体感温度を暖めるというお話です。

引き続きお付き合いいただけますよう、よろしくお願いします。 

 

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  posted by t.arai 

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