電気の正体3

 

またまた勝手にシリーズ化してしまいました。電気の話を続けたいと思います。

第3回目は、「ケーキは適当なサイズで」というお話です。

電気のケーキは工場で大量につくられた後、お客様のニーズに合わせたサイズにカットして配送されます。

4人家族で食べられるケーキの量は限られますから、工場と同じだけの量を送られても迷惑ですよね。

火力発電や原子力発電は『熱を電気に変換する』方式ですが、この時の熱エネルギーの全てが電気エネルギーに変換されるわけではありません。

熱エネルギーを100とするならば、そのうち電気に変わるのは40程度。

これがケーキ職人ならば、10個中6個は失敗作を作っている訳で普通の工場だったら、まあクビですね。

とはいえ、『熱効率40パーセント』は世界トップクラスの変換効率。

これでもスゴイ事なんです。

ちなみに、水力のエネルギー変換効率は70パーセント前後、風力はいまのところ30パーセント。

太陽光は10~20パーセントという状態です。

お寿司屋さんのカウンターで「トロ1つ」と注文すると、美味しそうなトロの握りが1貫出てきます。

けれど、電力会社に「電気1キロワット」と注文しても、ぴったり1キロワットをつくってはくれません。

電気をつくるというのは、ある意味大雑把な作業なのです。

火力発電は一旦操業を停止すると、いざ再開しようにも膨大な手間とエネルギーがかかる為、ちょくちょく作業を止められません。(出力調整は可能です)

原子力発電は核分裂のコントロールが難しく、需要に応じた細かな調整が出来ないため、現状では常に同じ量をつくるしかありません。

こっちは「いらない」と言っているのに、どうしてもつくり過ぎてしまう。

やめられない、止まらない。

それが電気の弱点です。

しかも余った電気は保存出来ない。

ますます始末に負えません。

とても働き者のカリョクさんですが、一旦休憩を与えると本調子に戻るまで時間がかかります。

これではケーキ屋さんの経営が安定しませんから、店長は彼を目一杯働かせる事にしました。

お陰でケーキは常に余り気味です。

ゲンシリョクさんは人の言う事を中々聞いてくれません。

店長としては、「今は注文が少ないから、つくらなくていい」と言いたいところですが、彼の生産量を細かくコントロールする技術は、いまのところ誰も持ち合わせていません。

仕方がないので、毎日確実に売れそうな分は彼の担当にしていました。

街のケーキ屋さんなら、全てのケーキが売り切れると「本日は完売しました」の札を下げます。

しかし電気に完売は許されません。

完売=停電になると、世の中は大混乱をきたす事になります。

電気が一番求められるのは毎日午後3時前後。ここで完売しないよう、電力会社は全力で供給量を確保します。

生産量を細かく調整出来ない電気は、ピークの時間帯を過ぎると余り始めます。

余った分は次の日に売りたいところですが、残念ながらケーキ同様、あいにく保存がききません。

売れ残る大量の電気。

さすがに捨てるのは勿体ないので、電力会社は売れない時間は大安売りする事に決めました。

通常の1/3程度の値段です。

これがいわゆる『深夜電力』。

「だったらケータイの充電は大安売りの時間にしよう!」

そうしてもらえると、電力使用のピークはズレます。

けれど電気代の節約にはなりません。

なにしろ深夜電力を安く使うには、事前の『そういう契約』を結んでおかなければならないからです。

例えば『お得なナイト8』というプランで契約すれば、夜11時から朝7時までの8時間は電気料金が安くなります。

その代わり昼間の電気料金は通常の3割増しに。なんとも微妙な契約です。

そもそも、なぜ電気は貯められないのでしょうか?

それは、発電所から送電される電気が『交流電流』だからです。

交流電流を使うのは、電圧を自在に変えられるから(直流は変えられません)

余った電気を貯めるには、一旦交流電流を直流電流に変換してパッテリーに入れなければなりません。

その為には大規模な設備と広大な場所が必要です。

しかも蓄えた電気は『自然に放電する』うえ、バッテリー自体は消耗品。

交流→直流に変換し蓄電し、直流→交流に変換して使う際の変換ロスも小さくありません。

蓄電池の種類によっては、破裂の危険もあります。

コストや生産性を考えると、蓄電よりも発電の方が合理的という訳です。

次回は、「正しい節電」というお話です。

なお、㈱エクスナレッジ 刊/山田浩幸 著/エアコンのいらない家から一部抜粋・引用しています。

次回もまた、お付き合いくださいね。

 

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