そもそも換気とは?

計画換気のお話しをさせていただきます。

空気は78パーセントの窒素と21パーセントの酸素、そしてアルゴンや炭酸ガスなどの微量のガス約1パーセントで成り立っています。

換気のお話しで良く出てくるのは窒素や酸素ではなく炭酸ガスですが、それはたった0.03パーセントしかありません。

換気を考える場合には、空気に関連する別の物質も加わります。

それは水蒸気・臭い・粉塵・細菌・化学物質、そして熱(暖めた空気・冷やした空気)も関わります。

生活していればこうした水蒸気や汚染ガス等が発生します。

こうした汚染物質の発生源と及ぼす影響は以下の通りです。

そこで新鮮な外気を取り入れて、湿気と汚染ガスを希釈しながら、外に排出する必要性が生じます。

これが換気の働きです。

換気のうち、換気扇を回すように機械的に行うものを『機械換気または強制換気』と言います。

また、機械を使わないで行う換気を『自然換気』と言います。

もちろん隙間風もこの自然換気の範疇に入ります。でも、隙間風は換気ではないと言われるのは何故でしょうか。?

2003年7月に制定されたシックハウス法では、原則として全ての新築住宅に機械的な換気を義務付けていますが、それ以前の住まいの換気に対してはとても無頓着でした。

便所や浴室に小さな換気扇を付ける程度で、それも使用する時だけ運転する状態でした。

こんな風に、便所や浴室だけで換気する事を『局所換気』と言います。

また、必要な時だけ運転する事を『間欠運転』と言います。

こんな状態ですから、日本の住宅は暖房も換気も家全体で捉える事がありませんでした。

では、室内の空気はどんな事になっているのでしょうか。

個別暖房ですから、暖房している部屋に人が集まります。

暖房機は開放型ストーブですから、水蒸気や有害なガスを吐き出しています。

人も炭酸ガスや臭い・水蒸気を放出しています。

タバコを吸えば、汚染度は数倍も高まります。

でも換気していないので、汚染空気は停滞してしまいます。

また隙間風は風任せですから、風向きによって流れ方が変化します。

空気が汚れる場所(ダーティーゾーン)である便所・浴室・台所は、北側につくる事が一般的です。

冬は北風が吹きますから、ダーティーゾーンの汚れた空気がリビングに流れる事になります。

入ったばかりの新鮮空気がそのまま外に出る事だってあり得ます。まさに逆流です。

換気とは空気の流れをコントロールする事です。

風任せでコントロール出来ない隙間風を換気と呼べないのはこの為です。

だからと言って絶対的に機械換気が必要だという訳ではありません。

自然換気でも良いのです。

自然換気というのは、窓からの通風や温度差を利用して計画的に空気をコントロールするもので、隙間風とは異なります。

ただし、自然換気の扱いは中々難しいもの。

事前の充分な検討が必要となります。詳細は以下ブログをご覧ください。

http://blog.goo.ne.jp/assetfor/e/28a1dfea57d4aefda9349fa3ef65e916

計画換気の原則とは、常時空気の出入り口を明確にして、必要な量の換気を行う事です。

常時とは1年中24時間という事であり、休む事無く行う必要があります。

外からの新鮮空気は、まず最初に人間に与えます。この為に寝室などの居室から給気します。

新鮮空気は人の呼吸や埃・建材から出るガスなどによって段々汚れていきます。

汚れた空気は廊下等を経由して、ダーティーゾーンや湿気及び化学物質の滞留しやすい納戸から排気します。

こうした空気の流れを確保する事が重要で、これを間違えると居室に汚染空気が流れてしまいます。

必要な換気量とは、人が普通に生活していても空気が清浄に保たれるのに必要な量の事です。

空気の汚れの指針として使われるのが炭酸ガス濃度です。

人間は酸素を吸って炭酸ガスを吐き出しています。従って部屋の中に人間が居れば、炭酸ガスの濃度は高まります。

そして人体からは粉塵や臭いも出ます。これが空気の汚れです。

この汚れを除去する為に、最低どれだけの換気量が必要でしょうか。?

炭酸ガス濃度が1000ppm以下ならば、空気は清浄だと考えます。

人のいない自然の中での炭酸ガス濃度は350ppm程度と言われています。

炭酸ガスが増加するに従い、臭いや粉塵・水蒸気も増えるという判断のようです。

でも、1000ppmを超えたからといって息苦しい訳ではありません。

1000ppmはあくまでも清浄な空気の範疇であり、3000ppmでも鼻が慣れてしまっている居住者は気付く事が無い位です。

炭酸ガス濃度を1000ppm以下に抑える為には、1人当たり20~30m3/時の換気が必要とされています。

その根拠は、次のような計算に依ります。

炭酸ガスの許容濃度=1000ppm=0.001リットル

・新鮮空気の炭酸ガス濃度=350ppm=0.00035リットル

・就寝時の1人当たりの炭酸ガス排出量=13リットル/時・人

・生活時の1人当たりの炭酸ガス排出量=20リットル/時・人

必要換気量=炭酸ガス発生量/許容濃度

・就寝時の必要換気量=0.013/(0.001-0.00035)=20m3/時

・生活時の必要換気量=0.020/(0.001-0.00035)=30.8≒30m3/時

出所:平成11年省エネルギー基準に基づく住宅断熱の設計・施工ガイド/IBEC発行

さて、1人当たりの必要換気量がわかったのですから、1軒の家または1部屋に何人いるのかを設定すれば換気量は出るハズです。

でも日本ではこうした換気量の計算をするのではなく、換気回数で必要換気量を示しています。

換気回数というのは、室内の空気が外の新鮮空気と1時間に何回入れ替わるかを示したものです。

次世代省エネルギー基準でも、必要な換気量は0.5回/時とされています。

では0.5回/時というのはどの程度の換気量になるのでしょうか。

日本の家の平均面積は現在40坪(約132m2)程度ですから、132m2×天井高さ2.3m×0.5回/時≒150m3/時ということになります。

1人当たり30m3/時の換気が必要であれば、4人家族の場合には120m3/時ですから、安全率として1人分多めに取れば150m3/時になり、ちょうどよい感じですかね。

でも大きな家になると、居住人数と換気量のバランスが合わなくなる事になります。

6帖の部屋に1人在室の場合/炭酸ガス濃度:1000ppm/必要換気回数:1.16回/時

10帖の部屋に1人在室の場合/炭酸ガス濃度:1000ppm/必要換気回数:0.70回/時

24帖の部屋に1人在室の場合/炭酸ガス濃度:1000ppm/必要換気回数:0.29回/時

上の3つのケースの場合、6帖のような狭い部屋だと0.5回/時では少なくなりますが、24帖のように大きな部屋では多すぎる事になります。

また、部屋の中にいるのがいつも1人とは限りません。

0.5回/時分の換気量というのは、あくまでも設計上の目安であり、生活をする上で換気量が不足すれば窓を開けるなどの行為が必要になるという事になります。

換気の話になると、「部屋の中で空気が澱む部分がある」とか、やたら細かいところで議論が戦わされる事もありますが、換気というものは計算通りにいくものではありませんから、居住者自身が空気の汚れを敏感に察知して、窓を開けるとかドアを開放して空間を大きくするなどの措置も必要になります。

空気の汚れには、カビの胞子やダニのハウスダスト・ウィルスや病原菌・ホルムアルデヒドやトルエンのような化学物質も含まれていますが、これまで換気計画では炭酸ガス濃度が指針にされてきました。

そしてシックハウス法での考え方も、換気量の基準はあくまでも炭酸ガスでの判断から抜け出しているものではありません。

炭酸ガスは人から発する物なので、1人当たりどの程度換気すれば良いのかを計算するが容易でした。

ところがホルムアルデヒドは放散する建材などの量と放散速度が作用する為、発生量を予想する事が難しくなります。

家によって使われている建材は色々ですし、家具や日用品だってホルムアルデヒドを放散します。

ある状態を予想して、その状態でのホルムアルデヒドが基準値以下である為に必要な換気量を想定しなければなりません。

ホルムアルデヒドは温度が高いと放散しやすくなり、低くなると出てきません。従ってその対策は夏が対象となります。

夏の室内温度は冷房運転をすれば26度程度ですし、運転しなければ30度以上になるでしょう。

ただ冷房していない時は窓を開けているでしょうから、換気量はそれほど問題にはなりません。

あくまでも冷房して閉め切った状態が対象となります。

シックハウス法では、室温を28度、湿度を50パーセントとしていますが、その理由は省エネルギー政策で指導している「冷房温度を28度以上にしましょう!」という前提を重視したに過ぎません。

基準値なんてものは、このように色々な判断で設定されるもの。その結果は不安定なものです。

次に建材や家具からの放散の度合いです。

シックハウス法はまずホルムアルデヒドを放散する建材を指定し、放散速度を下表のように4つのランクに分けました。ランクは☆の数が多いほど放散速度が遅い(放散量が少ない)ものとしています。

4つのランクのうち、F☆は使用不可としF☆☆☆☆のものは無制限に使って良い事になっています。

もちろん放散建材に指定されなかった建材は無制限に使う事が可能です。

そしてF☆☆およびF☆☆☆のものは、換気回数との関係で使用量が決められています。

住宅の場合、F☆☆なら換気回数が0.5~0.7回の時に床面積の0.3倍、換気回数が0.7回以上の時に0.8倍。

F☆☆☆なら換気回数0.5~0.7回の時に床面積の2倍、0.7回以上の時に5倍になっています。

ホルムアルデヒドは温度が高いと多く放散しますが、室温が22度程度であれば換気量が少なくても許容濃度を超える事はないと考えられています。

この場合の条件は、F☆☆☆の建材を床面積当たり2倍分+家具でF☆☆☆相当を3倍分使われたうえでの計算です。

計画換気の重要性、ご理解いただけたかと思います。

もう昔の家のように、「換気」に対して無頓着でいられませんよね。

いかにして、計画換気をおこなうか。

換気によって排出される熱エネルギー及び機械換気による消費電力等については、以下ブログをご覧ください。

 http://blog.goo.ne.jp/assetfor/e/d0600e051c5ddb8e02c99d6b40c648a2

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