人と住まいを守るために必要なもの12

換気についての基本的なお話しをご紹介しています。

第12回目は『計画換気と換気経路』というお話です。

一般居室の空気清浄度を保つために必要な全般換気では、住宅全体の空気が連続的にくまなく換気されている事が重要です。

計画換気の条件は以下の2つになります。

1.新鮮空気(外気)を導入する入口と汚れた室内空気を排出する出口が明確である事。

2.住宅内をどのように空気が流れるか(換気経路)を計画する事。

住宅の気密性が高くないと、外部風による風圧力や室内外温度差による浮力の影響を受けやすくなります。

このような状況では住宅の隙間からの漏気が増え、空気の入口からは新鮮空気が導入できず、汚れた空気を出口から排出する事が出来ません。

では、計画換気を実現するためにはどの程度の気密性が必要なのでしょうか。

風や温度差の影響を受けずに、計画通りの換気量と換気経路を確実に換気させるための住宅の気密性能は、一般的に相当隙間面積(C値)1.0平方メートル/平方センチ以下と言われています。

機械換気が有効に働くかどうかのカギを握っているのは、気密性能なんです。

これは換気方式によっても多少異なります。

例えば『第一種熱交換換気』と言われる強制給排気方式(強制給気・強制排気)の場合は、C値0.5以下が望ましいのです。

しかし全般換気は局所換気とは異なり、臭気や燃焼ガス等の汚染物質を排気する訳ではありません。

強風時や台所の換気扇使用の影響で一次的に計画した空気の流れが変わったり、逆流が生じても心配する必要はありません。

住宅全体の空気が常に動いている事が大切であり、あまり神経質に空気の流れを限定する必要はないと思われます。

高気密住宅でも隙間がゼロではありません。

例えばC値1.0の気密住宅は、延べ床面積120平方メートルだとすると建物全体の総隙間面積は120平方センチになります。窓廻りや躯体の隙間がこれに当たります。

一般的な自然給気口の有効開口面積は1個当たり約12平方センチで、5個設置しても60平方センチにしかなりません。C値1.0の気密住宅における隙間量の半分にしかならないのです。

C値1.0の気密住宅でも、実際の換気は自然給気口だけではなく建物の隙間からもあるんです。(漏気)

機械換気で通常採用されている換気経路は、一般的に局所排気のあるトイレや浴室(ダーティーゾーン)を排気空間とします。

寝室や居間等の居室(クリーンゾーン)を給気空間とし、廊下や階段室は経路空間となります。

しかし全般換気の排気位置は、必ずしもダーティーゾーンである必要はありません。

バランス良く排出できる位置に設ける事が大切で、局所換気とは別に居間の吹抜けや階段室・2階ホール等から排気する場合もあります。

いずれも給気空間から排気空間までの間に間仕切り壁やドア等で換気経路が遮られる場合には、ドアのアンダーカトやガラリ等で空気が流れるようにしなければなりません。

強制排気方式(第3種換気)では、気密性能の悪い住宅の場合は室内外温度差が生じる冬季に、計画通りの換気経路で有効に働かない事があります。

建物の室内外温度差がある時、空気の密度差によって浮力による圧力が生じ開口を通して換気が行われます。

室内空気の温度が外気温よりも高いと、室内空気に上昇力が生じます。

この結果、建物の上部では空気が出ていこうとする力が働き、下部では外気が入ってこようとします。

冬期間に建物上部では、強制換気ファンで自然給気口から空気を室内に引っ張る力に対し、温度差により出ていこうとする圧力が働いて、圧力差がほとんど生じなくなります。

2階建ての2階の自然給気口からは空気が取り入れにくくなる訳です。

室内外温度差の影響を受けない気密性能を満たしている事が、計画換気をするためにとても重要である事を忘れないでください。

今回はここまでとします。

次回のお話は『ダクト式換気システム』となります。

幻冬舎ルネッサンス 刊/北村忠男 著/高気密木造住宅をもっと知ろうから抜粋させていただいています。

  

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  posted by Assed Red

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