大矩(オオガネ)

今日は『FPの家/T邸』の着工日。

まずは『水盛り・遣り方』という作業を行います。

作業の様子はのちほどアップさせていただきます。

今朝はそれに先立ち、遣り方に関する思い出を書きたいと思います。

私が建築現場に出始めた頃の遣り方は、今と若干異なりました。

遣り方に先立ち『地縄張り』という作業があります。

これは、建物の配置を実際の敷地に杭や紐を利用して表示したものです。

写真はFPの家/T邸の地縄です。

黄色い糸が基礎の外側を示しています。

この糸の外側(可能であれば1.0m位の距離を開けたいところです。)に水杭を立てます。

そして、そこに設計GLから600mm上に水貫を取付ます。

水杭・水貫が変形しないように、筋違をいれて四隅を補強します。

取り付けた水貫の内側に基礎の要所要所の位置をマークし、作業完了です。

水盛り・遣り方を簡単に言えばこうなります。

ポイントは大きく3つあります。

①一般的に建物の角は直角になっています。

その為には、水杭・水貫の取付を直角に近づけなければなりません。

②基礎天端は水平でなければなりません。

その為には、水貫の高さを水平にする必要があります。

③基礎図面をよく確認し、間違いのない施工が必要です。

その為に、基礎の通りを確実に水貫に記入する事が重要です。

 

①の為に、今はカネピタを使います。

装置の先端から出るスチール製の2枚のテープを使って、簡単に直角を確認できる便利グッズです。

トランシットと言われる光学機器を利用する場合もありますね。

でも、その昔は『大矩』とよばれる道具を利用していたんですよ。

ご存知でしたか?

 

大矩とは、木製の三角定規で、ひとつの角度が90度になっているものです。

この90度の部分で直角を測ります。

大矩の原理はとても簡単かつ原始的です。

中学校で習ったと思います。

ピタゴラスの定理を使用するもので、三角形の三辺が3:4:5の三角形を作ることにより直角な角度を作るというものです。

写真のように、水貫に水糸を掛けその交点部分に大矩を設置します。

目で見て水糸と大矩にズレがあれば、水糸の反対側の位置を少しづつずらして調整します。

実に大雑把な気がしますよね。

でも、真剣にこの作業を行っていました。

目が良くないと出来ない作業でもあります。

 

②の為に、今はオートレベルを利用しています。

真ん中に置いた発光部からレーザー光が出てます。これを受光部で受け、その高さを水杭にマークする事で水平を確保する光学機器です。

でも昔は、『水盛り管』を使っていました。

イラストのような原理です。

ホースの先の水位は常にペツトボトルの水位と同じです。

ペットボトルを固定して高さを一定にしておけば、ホースの高さを水杭にマークして、それを結べば水平になる訳です。

 

③の為に今はスチール製の巻尺を利用していますが、昔は『間棹』と呼ばれる道具を使っていました。

尺杖とも呼ぶそうですね。

長さ1~2間ほどの角材に1尺ごとの目盛りをつけた、大きな物差しです。

これを当てて、水貫に墨を落としていきました。

mm単位で間崩れがある場合には、当時も巻尺を利用していました。

でも当時の設計は大抵910mmピッチになっていて、せいぜい細かくても455mm程度だったから間竿が有効だったんでしょうね。

道具ひとつとっても、なんだかおおらかな気がします。

光学機器は正確だし、効率的ではあるんですけど・・・。

ふと懐かしく思い、書かせていただきました。

 

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posted by Assed Red

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