計画換気の必要性

朝から固い話です・・・。

温故知新

住宅の次世代省エネルギー基準と指針』

財団法人 住宅・建築省エネルギー機構 刊

いわゆる『H11年基準』といわれる省エネ基準について書かれた書籍です。

「何をいまさら・・・。」

と思われる方も多いとは思います。

この中から、『気密』について書かれた部分を改めてご紹介したいと思います。

45頁にある

2.4.2 計画換気の必要性

を全文抜粋させていただきます。

次に計画換気であるが、計画換気とは一言で言えば、建物に流入する空気の入り口と建物から排出される空気の出口を明確にして実施することである。

日本の住宅においては、厨房・浴室・便所などの局所的に汚染物質や水蒸気が排出される空間では換気扇によって機械換気を行うことが当たり前になっているが、居間や寝室などの一般居室で換気を行うことは常識になっていない。

計画換気においては、こういった一般居室の換気も含め建物全体で空気の入口と出口を明確にして換気が行われる。

従来の気密化されていない建物では、いたるところに隙間があるので空気の入口と出口は決まっていない。

このような隙間を通して成り行き任せで行われる空気の出入りは、厳密には『漏気』といい、換気とは区別するべきものである。

従来の気密化されていない建物では、漏気に頼って『換気』していたわけであるが、漏気量は外部風や外気温に強く依存するので、換気量(漏気量)は過大になる時もあれば逆に過少になる時もある。

また気密化のところで述べたように、漏気は熱負荷を増大させるし、繊維系断熱材の場合には内部結露の原因にもなる。

このような漏気に依存する不安定な換気ではなく、決まった場所(給排気口)を使用して常に過不足の無い適量の換気を行おうというのが『計画換気』の趣旨である。

計画換気では安定した換気を行うために、空気の出入り口は給排気口だけに限定されるので、それ以外の隙間は不要というよりも存在してはいけないものになる。

もし隙間が存在すると、そこを通うじて漏気が発生するので、換気が不安定になる原因となる。

つまり計画換気を実行するには気密化が必須条件となる。

計画換気を行えば常に過不足のない換気が行えるので、暖冷房の熱を余分に損失することもなくなり、且つ換気量が不足してホルムアルデヒドなどによる空気汚染が発生することもなくなる。

さらに換気装置に空気清浄や加湿・除湿の機能を付加してやれば、外気は換気装置だけから導入されるので花粉の除去や湿度調整も従来よりもはるかに効果的に行えるようになり、花粉症や低湿度による風邪・肌荒れの防止、熱帯夜の不快な蒸し暑さの解消などがわずかなエネルギー消費でもって可能になる。

またセントラル給排気方式であれば、熱交換器を付けて排気の廃熱を回収することができるので、換気負荷のさらなる削減や外気の予熱・予冷も可能となる。

換気のためには空気を動かす力が必要となるが、その力を『換気駆動力』という。

計画換気というと、換気駆動力は送風機、すなわち人口エネルギーになってしまうのではないかと思われがちだが、本基準では送風機による計画換気を絶対条件として要求していない。

もちろん、住人に体質的に弱い人がいて常に清浄な空気が要求される場合には、送風機による換気(機械換気)が安定した換気量を保証してくれるので、適切な方法となる。

しかし、やや不安定さは残るが、室内外の温度差を駆動力とする自然換気も条件や設計によっては十分満足のゆくものとなるので、本基準では自然換気による計画換気も認めている。

いかがでしたか?

気密化の必要性について書かれたこの解説は、いつの間にか削除されてしまい、現行基準の中には見当たりません。

基準改正に携わった有識者のインタビューに対する回答を読むと

「震災以降耐震性向上の目的で施工されるようになった『構造用合板による剛床』や『構造用合板等による面材耐力壁』の影響で、木造軸組み工法で建てられた住宅の気密性能が概ねC値2.0㎠/㎡を下回るようになったから。」

というのが理由のようで、決して『プレ協』からの圧力があったからではないそうです。

昨日の解説を読んでいただければわかるように、必要な気密性能を地域により2.0㎠/㎡・5.0㎠/㎡に決めたのは、あくまでも

①漏気による熱負荷の削減

②断熱材の断熱効果を補完

③繊維系断熱材では防湿も兼ねる

④計画換気の前提条件のひとつ

の効果のうち、②および③を重視したもの。

よって、計画換気の事はあまり考えていません。

 

ストローでジュースを飲む時のことを思い出してください。

ストローに穴が開いていたら、ジュースをうまく吸う事が出来ません。

隙間だらけの建物だって一緒です。

隙間が少ない家であれば、出口から汚染空気を排出する事で入口から新鮮空気を取り入れることが可能です。

出口と入口の配置を正しく行えば、室内空気に淀みはありません。

でも隙間だらけの家では、出口から排出しても隙間のおかげで入口から入る空気はわずかです。

室内空気に淀みが発生し、計画換気は行われません。

C値が5.0㎠/㎡の場合に、給気口から入る新鮮空気の量は全体の17%にしか過ぎません。

2.0㎠/㎡の場合でも35%足らず、0.5㎠/㎡の場合ですら66%にしかならないんです。

計画換気をきちんと機能させるためには、せめてC値0.5㎠/㎡以下にすべきでは・・・。

そもそも繊維系断熱材の防湿層として『気密化』を考えるのであれば、C値2.0㎠/㎡以下という基準はあまりにもお粗末過ぎます。

 

上図をご覧ください。

縦横1.0m(1.0㎡)の石膏ボードを透過する水蒸気量は1/3リットル程度です。

でも、この石膏ボードに2cm×2cmの穴を開けると、透過する水蒸気量は30リットルにも増えてしまいます。

水蒸気の分子サイズは最少クラス、小さい隙間からでも漏れてしまいます。

この基準でつくられる防湿層、大丈夫なの?

そして、もうひとつ。

どんなに丁寧な施工をしても、防湿・気密層は経年劣化を免れることができません。

C値2.0㎠/㎡の建物も2年後にはC値4.0㎠/㎡の家になっているかもしれません。

大丈夫か?

気密無き高断熱住宅。

そもそも、気密性能が確保されているのかどうかを判断するためには『気密性能試験』が必要です。

コレを行わない以上、気密性能の評価ができません。

気密無評価住宅を気密住宅と呼ぶなんて・・・。

ましてや高気密住宅と呼ぶなんて・・・。

明らかな詐欺だと思いませんか?

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