気密性能の要・不要論

少し硬い話を書きたいと思います。

昨日に引き続き、建築知識№768より一部を抜粋してご紹介したいと思います。

北方建築総合研究所/鈴木大隆VS住宅技術評論家/南雄三

外皮基準、一次エネルギー基準誕生の経緯と発展

南:今の省エネ基準には、気密の規定がないですね。

鈴木:「気密が要らない」とは書いてなくて、「ちゃんとした対策をとってね」と書いてある。

僕は少なくても断熱・防露の観点から、ツーバイフォーやRC造に気密の性能規定は要らないと思っています。

気密は何のためかというと、一つは漏気による結露の防止。

もう一つは壁内気流による断熱性能低下という観点だとすれば、RC造とツーバイフォーに関しては、気密性能の基準は要らないわけですよね。

それらは気密性能でいえば、相当隙間面積で2㎠/㎡を切っているイメージですか。

そうです。

多分、特段の対策を行わなくても、これらの工法は窓にそれなりの物を使用すれば自ずからそうなるでしょうね。

対策が必要なのは在来木造と鉄骨造です。

在来木造は「気密性能でいくらあればいい」ではなくて「こういう対策をきちんととる必要がある」ということです。

それは気流止めの措置であり、防湿層の切れ目が生じない施工、それは基準にも書いてある。

仮に必要な対策をとらなくてもビニルクロスで各室の内装をぐるりと施工し、巾木や廻縁がしっかり施工されていれば気密性能がクリアできてしまう。

しかし、それでいいのか・・・。

性能値のみで規定するというと、重要な対策が評価出来ない可能性がある。

在来木造の場合、隙間が発生しているところは、全体の外皮の中の7~8割方は特定部位に集中している訳で、わざわざ住宅のトータルで色々な数値を設定しなくても、その特定の部位に対して適切な対策をしっかり講じる方が確実ではないかと。

いい意味での仕様規定を上手に活かすことで、性能規定では曖昧になってしまう部分を無くす。

僕なりにはそういう考えで、過去の改定で気密性能の基準を無くしたと記憶しております。

それは主に上下の気流止めですね。

その対策とは、内部結露ではないですか。

今まで気密性能が表に出てこなかったのは、そういう理由があるんですね。

検査も困るだろうしね。

そうですね・・・。

いずれにしても、通気止めはやっていなくても、場合によっては5程度はクリアできる。

しかし、それはおかしい。

あくまで具体の対策が重要。

ここだけはしっかりやってね、というような。

同じ対策をとっても、凹凸があればその分どうしても隙間量は大きくなる。

また小さな住宅であれば設備配管の貫通部分や窓の隙間量の比率が大きくなるから、結果として床面積当たりの相当隙間面積は大きくなってしまう。

でもそれはある意味、住宅の属性・個性だから、どんな場合であっても必ずこの数値以下という発想でなくてもいい。

きちんとした対策をした上で、という話ですが。

それをやれば5㎠/㎡はクリアする?

すると思います。

2㎠/㎡はクリアする?

どうでしょうね・・・。

ただ、高い気密性能すなわち防露性が要求される寒冷地であれば、別張り防湿層など特別な対策が必要となります。

必要な防露性能を確保すれば、自ずからその辺りの数値は達成することになるでしょうね。

やはり対策をきちんととる事が大切であって、数値ありきではない。

僕が一番大事だと思っているのは、無断熱で100年もっていた住宅が、断熱材を入れた事によって20年しかもたないような住宅にならないようにすること。

その為には特に在来木造や鉄骨造において、気密性能という定量的基準では不十分と思っています。

弱点がはつきりしている住宅構造は、そこの対策をとりなさいといった方が、現場の施工管理もしやすいし、大工さんも理解しやすいはず。

そうですね。

「気密が良ければ内部結露も安全で、換気にも安全で」とかいう「すべてがいい」という言い方もおかしいし、「内部結露的に言えば、抑えるところを抑えればいいんだ」

「寒冷地になれば、それを抑えていったら気密化になるんだ」ということで、「抑えるところを抑えることが一番大事」というのが気密の概念でしょうね。

そういう意味で、仕様規定のいいところと性能規定をうまく盛り込んだ折衷案の方が、誰もが理解できて良い筈。

それを20万人講習でも・・・。

「気密はとにかく2㎠/㎡を切れ」と言ってきたけれど、「排気方換気の場合はそうするべきだ」というような判断をするということですね。

そうですね。

どのような換気設備を導入するかによっても対策は変わる。

例えばスカスカの住宅に熱交換をやっても、熱交換は思ったように機能しないし、第2種換気をやると防露上の要件は高くなる。

それは換気設備に関連する気密性能の要件であって、設備側で規定べき話かなと。

設備側で建物の性能を規制してもらうということですか。

必要があれば、ですね。

熱交換をきちんと機能させることと、通気止めがあるかないかは直接的にあまり関係ないんですね。

要は、内装ラインである一定の気密が確保されていればいのですから。

防露・断熱性能の確保のための対策とは、ちょっと次元の違う話かと思います。

もちろん気密性能を測定して検証し、今後の開発につなげていくことは重要と思いますが・・・。

平成11年基準において規定された気密性能が、途中で無くなってしまった事に関しては、私自身不可解な思い持っていました。

この対談を読んで、一応納得できました。

あくまでも性善説なんですね。

仕様規定を行えば、施工者はきちんとやってくれる。

そこには手抜きや間違いは存在しない。

現在の行政や瑕疵保険による検査体制では、こうした施工の適否は判断できません。

施工者および監理者に委ねるのみ。

その結果、施工不良による『内部結露』が発生し『断熱材を入れたことで20年しかもたない住宅』が散見しています。

『高断熱住宅なのに隙間風がピューピュー吹いて、ちっとも暖かくない』が、入居時の不満事項として上位に入っていたりします。

クロスを貼る前に気密性能測定を行えばいいのに。

完成後にサーモカメラを使った目視検査を行えばいいのに。

中国・台湾や韓国のように、パツシブハウス級の家を増やしていこうとする時代にC値5.0㎠/㎡で良いと思っているのでしょうか?

「まだ、その時期ではない。」

「まずは、このレベルの家づくりを行ってみて、その上で次のレベルに進むべき。」

なんて思っているのでしょうか。

そんな悠長なことをいっている場合ではないと思いますよ。

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