ヒートショック

 健康に暮らすための住まい住まい方 エビデンス集

技報堂出版 刊

健康維持増進住宅研究委員会/健康維持増進住宅研究コンソーシアム 編著

編集協力 一般社団法人 日本サスティナブル建築協会

という書籍を購入しました。

定価2800円+税

少し高いけど、中々良い本だと思います。

機会があれば、皆さんも是非ご一読ください。

前回に続き、本文中にあるヒートショックに関する記事を一部抜粋させていただきます。

入浴死は圧倒的に高齢者に多くなっています。

その理由は、温熱環境に対する高齢者の心理・生理反応に特徴があるためと思われます。

以下にその特徴を示してみましょう。

①血圧変動

人体が寒冷に曝されると血圧が上昇し、高齢者では特にこの傾向が強くなります。

寒冷(10℃)に伴う最高血圧の経時変動を調べてみると、高齢群と若年群の寒冷曝露前の最高血圧には平均25mmHgの差が認められ、前者が有意に高い。

寒冷曝露直後、若年群が平均5mmHg上昇したのに対し高齢群では平均21mmHgと急激な上昇を示しました。

以後、若年群ではやや低下するものの、高齢群では最高血圧はさらに上昇しています。

同様にCollinsらは冬のパジャマ姿で6~15℃に2時間曝した際の高齢者と若年者の血圧変動を調べました。

上図のように、室温6℃では若年者の血圧は上昇後ほぼ安定したらに対し、高齢者の血圧は上昇し続けました。

室温12℃では、若年者の血圧はほとんど上昇しないのに対し、高齢者では血圧上昇が著しく、血圧の変動から見れば『高齢者の室温は最低でも15℃以上必要』と報告されています。

北関東の戸建住宅に居住する高齢者42名の居間と脱衣室の室温を冬季に調査したところ、平均で15.0℃/13.5℃に過ぎず、平均湯温は40.8℃となりました。

なお夏季は平均で居間28.5℃、脱衣室28.5℃、平均湯温40.1℃となっています。

同時に入浴に伴う高齢者の収縮期血圧の変化を測定しましたが、寒い脱衣室で裸になると血圧は上昇し、平均で155mmHgにも達しました。

熱い湯に入ると皮膚血管の拡張により心臓への血液還流が減少し、収縮期血圧は急に低下(平均15mmHg)しました。

比較のため、夏季における入浴に伴う収縮期血圧の変動も調べましたが、夏季には血圧の変動はごく小さくなっています。

また冬季における大きな血圧変動は、室温により大きく影響を受けることも認められました。

さらに日本の高齢者は、厚着をすることにより低い室温に対処することが多くなっていますが、高齢者の健康や安全を考えると問題が多いと思われます。

いくら着衣量を増加しても顔や手・気道は寒気に曝され、その刺激により血圧が上昇することも知られています。

しかも着衣量の増加は運動性の低下を招き、転倒事故の危険を増やします。

高齢者の居室では、出来るだけ着衣量を増やさず、室温を健康・快適域に保つ必要があります。

②温冷感

高齢者と若年者を裸体で10℃前後の寒冷に曝し、生理機能を測定する実験を行いました。

前者は寒さによる不快の訴えが少ないことが50年ほど前に報告されています。

そこで寝間着程度の着衣で10℃の寒冷に50分間高齢女子を曝し温冷感覚を測定、女子学生と比較してみました。

その結果、30分間以上経過した後では両群に温冷感の差異はないものの、寒冷室曝露直後の高齢者の寒さの訴えは有意に少ない。

すなわち高齢者では寒さに対する感受性の遅れがあり、寒さを容認しやすい事が示された訳です。

さらに英国の低体温傾向(体温35.5℃未満)にある18人の高齢女子に対して行った面接調査では、興味深いことに

「もっと部屋を暖かくしたい」と答えた人は3人。

「経済的余裕があれば、もっと暖房したい」と答えた人は6人。

残り半数の9人が「このままで良い」と答えています。

つまり高齢者の中には、居室温度がかなり低いにも関わらず、寒く不快と感じない者が多数存在する訳です。

この温度変化に対する高齢者の感受性の低下や、寒さに対する感受性の遅れの原因には、皮膚からの情報の減少が考えられます。

指先の温度識別能力は50歳位までは約0.5℃であるのに対し、65歳以上のそれは1.0~5.0℃。

温感・冷感の温度識別能力が加齢により著しく低下する事は既に知られていて、高齢者の単位面積当たりの冷点・痛点頻度は若年者に比べて少ないことも報告されています。

明日も、この続きをご紹介したいと思います。

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