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雨が止んで良かった・・・。
練馬・板橋は台風前の晴れ間となっています。
時折覗く太陽はジリジリと熱い日差しを注ぐし、湿度が高くて堪りません。
『FPの家 H邸』
今日は、助っ人を呼んで外回り作業をお願いしました。
軒裏下地の施工です。
通気胴縁施工前につき、パッキンを挟みながらの施工となりました。
これで、サイディング裏の通気が軒裏から換気棟まで抜けるようになります。
来月早々に入って来るサイディング屋さんも、すぐに作業を始められるそうです・・・。
そして、中では天井野縁の施工を行っています。
写真左側に見える銀色の配管は、換気ダクトです。
今回は第1種換気システムを採用したので、給気・排気ともスパイラル管を採用しています。
いつものフレキ配管に比べると、ダクト自体がきれいですよね。
管がまっすぐだし、曲がり部分もきちんとしている気がします。
でも、施工は面倒なんだそうです。
管自体が金属製だから、重いし加工が面倒・・・。
当然、手間賃も余計掛かります。
材料費だって、ばかになりません。
では、何故そこまでしてスパイラル管を使うのでしょうか?
この辺りの事を今回は書きたいと思います。
そもそもダクト内には空気が流れます。
給気ダクトであれば、新鮮空気が。
そして排気ダクトであれば、汚れた空気が通ります。
熱交換タイプの換気システムの仕組みを描いたイラストです。
ここで言う『給気ダクト』とは、イラストに『室内への給気』とある部分です。
そして『排気ダクト』とは、同様に『室内からの排気』とある部分となります。
図中『フィルター』とある部分に防虫・防塵フィルターを設け、熱交換素子の汚れを防ぐのが一般的となっています。
室内空気であれ、外気であれ、その多寡はあれど虫や埃・塵を含んでいます。
だからダクト内に、それらが付着・沈降していても不思議ないでしょ?
捨ててしまう空気であれば、ダクト内の埃・塵で汚れても問題ありません。
でも、呼吸するための新鮮空気が汚れるのはゴメンです。
これ、築23年のお宅の屋外からの給気配管の内部です。
フレキ管を使っていました。
これは、フィルターです。
完全に目詰まりしています・・・。
これを見ると、少しでも付着・沈降しにくいダクトを選びたいと思います。
だから、より内面が平滑で空気が淀みなく流れるスパイラル管を選びました。
この辺りが、普段採用している第3種換気と第1種換気の導入時の違いでもあります。
前者には排気ダクトしかありません。
よってフレキ配管でも、問題ありません。
でも後者でそれを使うのは問題だと思うんです。
弊社が第1種換気システムを採用する場合に限りスパイラル管を採用する理由がわかった所で、ダクトに関する一般的な話を書きたいと思います。
ダクトは換気にとって、重要な部材です。
でも、空気の流れを阻害する要素でもあるんです。
圧力損失(圧力損失とは、流体が機械装置などを通過する際の単位時間単位流量あたりのエネルギー損失の事。摩擦損失とも呼ばれます。/以下圧損)は、ダクトの長さに比例します。
だから長さ10mのダクトは、5mの長さのダクトに比べて2倍の圧損が掛かるんです。
例えば、上図でA点からC点までのダクト長は2.828m。
途中、B点を経由する場合のダクト長は4.000mになります。
この時の圧損は、2.828対4.000。
つまり、後者は前者の1.41倍にもなるんです。
よって、ダクトの長さは極力短くする必要がある訳です。
そして流量と圧損の関係流量Qは流速×ダクトの断面面積で求められます。
だからダクト径を変えずに排気量Qを2倍にすると、ダクト内を流れる空気の速さは2倍になります。
そして圧損は流速の2乗に比例するので、ダクト径を変えずに排気量を増やすと、流速は2倍になり、圧損は4倍になる訳です。
例えば流量100㎥/h時の、直径50mmダクトを流れる速さと100mmダクトの速さを比較してみましょう。
ちなみに50mmダクトの面積は0.0019625㎡、100mmダクトの面積は0.00785㎡となります。
100㎥/h=流速×ダクト面積ですから、前者は14.15m/s、後者は3.5m/sとなります。
圧損は流速の2乗に比例するので、前者と後者のそれは、実に16.3倍にもなるんです。
凄いでしょ?
結論。
圧損を少なくしたければダクト径を大きくしましょう!
まとめると、こうなります。
①ダクト長さを短くする。
②ダクト径を大きくする。
以上2点がダクト配管時の留意点ですが、これだけでOKとはいえません。
イラストのような部分が問題だからです。
これらの箇所は、圧損を多くする部位と言えます。
つまり、曲がり等が多いほど圧損も増える・・・。
でも現場を見ると、こうした施工は至る所で確認できます。
ゼロにするなんて、出来そうにありません。
結論。
数を減らす事もしましょう!
そして、その形状を工夫しましょう!
ダクトのカーブは、ゆるいほど圧損が少なくなります。
つまり急カーブ厳禁、車と同じなんです。
現場では、設計図の通りのルートで配管が行われています。
曲がりや分岐、収縮の位置も、設計図の通りです。
でもその形状は、施工者に委ねられているんです。
決められた部材を使い分けて、よりスムーズに空気が流れるようなダクティング行わなければなりません。
そうでないと、換気風量測定をした際に設計風量を大きく下廻るかもしれない・・・。
換気配管って、経験と熱意が勝負なんだと思います。
ただ繋げば良い訳ではありません。
こんな事を書いていると、フレキ配管でいいのかな?
なんて不安になります。
排気だけだから良いんじゃない?
なんて気を抜かないで、丁寧な施工を心掛けたいと思います。
そうそうユニットバスの設置、無事終わりました。
こんな感じです。
台風が近づいています。
外回りの防水が終わって良かったと思います。
念のため、周りの材料や端材も片付けないといけませんね。
posted by Asset Red
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