防腐・防蟻処理及び耐久性に関する基礎知識③

昨日の建て方では、手首を庇いながら作業を行いました。

そのせいか、まだ痛みが残っています。

右手を庇っていたせいか、左腕も筋肉痛

やはり歳には勝てません・・・。

さて本題です。

随分前に(財)日本住宅・木材技術センターから発刊された、大規模木造建築物の保守管理マニュアル -材料・施工・維持保全-の中から、その一部を抜粋してご紹介する木材と木材劣化に関する基礎的な知識の共有』シリーズ第3段は、こんな話題です。

2.腐朽

①腐朽とは何か

腐朽とは、腐朽菌と呼ばれる微生物によって木材が分解される現象をいう。

かび類については同じ微生物として存在するが、色変化や汚染などで木材表面の品質低下を起こすのみで、短時間には木材の強度を著しく低下させることはしないので、腐朽と区別されている。

②腐朽菌の生長過程

腐朽菌の胞子は、人間の目には見えないが空気中に各種多数存在し、水分など木材に菌の生育条件が与えられたときに木材上で発芽し、菌糸を伸ばしながら木材中に侵入し生長する。

③腐朽菌の種類

木材を腐らせる微生物(腐朽菌)は、大きく、主にセルロース及びヘミセルロースを食う菌(褐色腐朽菌)と主にヘミセルロース及びリグニンを食う菌(白色腐朽菌)の2種類に分けられる。

どちらも普通に見掛けるが、褐色腐朽菌はどちらかと言えば針葉樹で良く見掛けられ、建築物など土と接しない場所で使われる木材で見掛けることが多い。

白色腐朽菌は、どちらかと言えば広葉樹で多く見掛けられ、杭など土中に埋め込まれた木材で見掛けことが多い。

腐朽菌の仲間は温度が下がるなど条件が厳しくなった時に子実体(キノコ及びサルノコシカケのような形をしたものが多い。)を作るので、現れたきのこと食われた木材を持って専用の研究所等に持ち込めば、その種類はわかる。

但し関東地方のような寒冷地でない所では、キノコを見掛けることは少ない。

数年単位の長期間水中に沈められたり、土中に埋め込まれた木材には、削り落とされたような腐朽が認められる事がある。

これを軟腐朽と言い、この原因となる軟腐朽菌は主としてかびの仲間や細菌などの下等な微生物も関与している。

代表的な木材腐朽菌を挙げておきましょう。

④腐朽菌の生育条件

木材が腐るには温度・水・酸素(空気)の3条件が必要で、このうちのひとつでも条件が満たされなければ腐ることはない。

酸素については、木の保存方法のひとつとして水中貯木が挙げられているように、完全に空気を遮断出来れば腐朽することはないが、通常の使用状態ではそのようなことはあり得ない。

従って、この条件は通常満たされていると考えられる。

温度については、多くの腐朽菌について25~30℃が最適とされているが、自然状態ではかびなど他の微生物との競争がある為、腐朽菌が木材に取り付くまでには時間が掛かる。

従って、関東地方のような温暖な地域では地面に埋め込まれるような過酷な条件でも、多くの樹種は1年程度で腐ることはない。

木材の腐りやすさは暖かい日がどれほど続くかによるので、沖縄など寒い季節が少ない地方では腐る速度が速くなる。

しかし低温菌であるナミダダケ菌の場合、他の菌がそれほど生長しない20℃が最適である上、それ以下の温度でも他の菌より生長力がある為、北海道のような寒冷地域で住宅の床下が培養室のような状態になり、温暖な地域よりも大きな被害を与える。

日本の場合、20℃以上の気温が存在しない地域は限られているので腐朽速度の差はあるものの、木が腐朽しない地域は無いといって良い。

木材の腐朽の原因としては水が最大の要因と考えられる。

含水率と腐朽の関係でみると、木材が液体の形で水を含む状態(自由水)が必要で、含水率で言えば50~100%程度が最適と考えられる。

この条件は、木材近くに他の既に腐朽した材がある場合には変化し、腐朽菌が木材を分解することによって水を生産することや、場合によってはナミダダケ菌のように他の場所から水を運ぶため、この場合20%以上の含水率があれば腐朽すると考えられる。

⑤腐朽材の特徴

腐朽菌には、大きく見て褐色腐朽菌による褐色で、縦横に割れの入った褐色腐朽と、白色腐朽菌による白い繊維が束になった白色腐朽とがある。

この他に、かびなどの軟腐朽菌による数年単位の長期間水に沈められたり、土中に埋め込まれた木材で、削り落とされたような軟腐朽がある。

⑥腐る木材と腐りにくい木材

木材の微生物に対する抵抗性、すなわち耐朽性は、その材の組織構造・比重・硬さなどの物理的性質及びその材の含む化学成分によって左右される。

特に耐朽性成分は、フェノール類・トロポノイド・キノイド・スチルベン類・蝋化合物・テルペン類などの抽出成分と呼ばれる物質で、これらの成分は辺材と比較して心材に多く含まれている為、一般に心材の耐朽性が大きい。

木材の耐朽性を調査する方法は、杭を野外に設置して自然条件に暴露する方法又は室内に、特定の菌を用いて強制腐朽させて調査する方法がある。

後者の場合、培養基に寒天又は土壌を用いる方法が、ヨーロッパやアメリカで行われている。

日本のJIS試験法(JIS Z2101(木材の試験方法))及び(社)日本木材保存協会規格の方法(JWPA3号(木質材料の耐朽性試験方法))は、それぞれ砂を培養基に用いる。

試験菌としては、日本では白色腐朽菌としてカワラタケ、褐色腐朽菌としてオオウズラタケが用いられている。

南洋材の白色腐朽についてはヒロイタケ、北海道など寒冷地の褐色腐朽菌についてはナミダダケを供試菌に加えることがある。

室内試験法における質量減少率(重量減少率)と、野外試験における耐用年数との間には相関があり、耐朽性中位以下のものは、質量減少から凡その耐用年数を推定することができる。

耐朽性極大又は大のものについては、野外試験をしないと区別できない。

主な樹種の耐朽性を表付-2に示す。

ここでの野外耐用性は土に接する部分で、土と接しなければこの値の2倍程度の耐用性があると考えられる。

地域別の耐用性の参考として、図付-3に(財)日本住宅・木造技術センターが調査した木材危険度腐朽マップを示す。

大まかにみて北海道などの寒冷地域では、東京の5割程度耐用性が増加し、奄美群島・沖縄・南西諸島・小笠原諸島などでは、反対に5割程度耐用性が短縮すると考えられる。

続く・・・。

 

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