昔は妻壁に石膏ボードなんて張りませんでした。

埼玉で工事中の『FPの家 O邸』の現場写真です

2階天井裏の妻壁部分に張られた石膏ボードを撮りました。

薄緑色の部分が石膏ボードです。

今回も超軽量せっこう板を採用しました。

屋根断熱仕様を多く採用する弊社ですから、断熱パネルを充填していない屋根組って新鮮ですよね。

今回は天井断熱を採用しました。

天井に張る石膏ボードの上に防湿フィルムを張り、その上にセルロースファイバーを40cm程度吹き込む予定です。

ちなみに天井吹き込みの場合、セルロースファイバーの密度は25kg/㎥程度になります。

吹き込み後に経年で10%ほど沈降するそうですから、その分余計に吹かなければなりません。

44cmって、結構凄い厚さですよね

セルロースファイバー25Kって決して断熱性能の高い断熱材ではありません。

熱伝導率で言えば、0.038~0.040W/㎡・Kというところでしょうか。

でも天井に吹き込むのであれば、厚く吹く事で充分な断熱性能を得る事が出来ます。

厚さ40cmであれば、熱抵抗は10.5~10.0。

これってFPパネルで言えば、厚さ20cmに相当します。

弊社の標準は厚さ12cmのFPパネルですから、かなり高性能になります。

でも軒桁付近の天井には厚く吹き込む事が出来ません。

だから、こんな施工を行います。

屋根タルキ間に厚さ120mmのFPパネルを充填すれば、厚さの足りない分を充分補ってくれるでしょ

母屋下がりの天井にも、同様の施工を行います。

写真の中央に梁があるでしょ

梁から向こうは母屋下がりになっている為、屋根タルキ間にFPパネルを充填しているんです。

また軒桁付近のFPパネルは、別の役割も果たしています。

吹き込んだセルロースファイバーって、とてもフワフワなんです。

風が吹けば、舞い上がってしまいます。

舞い上がった繊維が屋根タルキ間から零れ、外壁通気層を通って下に落ちる事も有り得ます。

でも屋根タルキ間にFPパネルを充填してあれば、堰板の代わりになるでしょ

もっとも小屋裏の頭頂部には換気スリットを設けてあります。

そしてFPパネル上端の遮熱通気層から、常時暖かい空気が上がってきます。

上昇気流に逆らって、繊維が落ちるとも思えないんですよね・・・。

そう考えていましたが、ある時、この考えを改めました。

夜間は放射冷却で屋根面が冷やされます。

当然小屋裏温度も低下するので、外壁通気層に下向きの気流が発生する事もある訳です。

堰板は必要です

だから弊社では、写真のような施工を必須としました。

 

話を戻したいと思います。

昔は妻壁に石膏ボードなんて張りませんでした。

天井断熱仕様の小屋裏は外部扱いなので、妻壁には石膏ボードを張りません。

断熱材も充填しませんでした。

でも現在は、写真のように石膏ボードを張っています。

建築基準法では、準防火地域や22条地域に建つ戸建て住宅を『防火構造』・『準防火構造』とするよう定めています。

ちなみに防火の基準は熱伝導率は2000年に改正され、その2年後に施工されました。

旧基準では耐火時間30分以上の外装材を採用すればOKでした。

でも新基準では外壁の屋内側にも、厚さ9.5mmの石膏ボードを張るなどの防火被覆が必要となっています。

建設省告示1359号には防火被覆の仕様規定はあるものの、屋内側の防火被覆がどの範囲まで必要かの説明はありません。

そのため施工範囲の捉え方が人により異なるという問題が起きているそうです。

行政により、その範囲はまちまちなんだとか・・・。

だったら、全部張っちゃえばいいんじゃない

という事で、弊社では屋根タルキの下端まで防火被覆を行うようにしています。

野地合板の下端まで張らなくて良いの

という方がいるかもしれませんね。

以前に板橋区・練馬区の担当者に確認しましたが、野地合板の下端まで張る必要はないと言われました。

ここは軒裏の上になるので、外壁には該当しないらしい・・・。

外装材の屋内側に防火被覆を行うというイメージのようです。

 

写真を良く見ると、石膏ボードの下端に木材が留めてあるでしょ

これ、天井野縁です。

ちなみに天井野縁の裏側にも石膏ボードを張っています。

防火被覆を連続させるようにしている訳です。

妻側および天井懐内の防火被覆は、天井野縁を組む前に行うようにしています。

その方が施工性が良いからです。

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