夏の室温は何℃を目指すのが良いか?

先日の自立循環型住宅研究会で野池講師が語られた話のごく一部をご紹介します。

今回のゼミでは快適性ではなく、『熱中症』『カビ』『ダニ』といった健康性を指標に語られました。

熱中症については日本生気象学会が『日常生活における熱中症予防指針Ver.3』において次のような判断情報を出しています。

WBGTと乾球温度および湿球温度との関係は気象条件によって多少異なりますが表1のようになります。

WBGTの測定には次の写真のようなAugust乾湿計と黒球温度計(15 センチ)が用いられます。

WBGT(℃)の計算式は以下の通り。

屋外で日射がある場合: WBGT= 0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度

屋内で日射がない場合: WBGT= 0.7×湿球温度+0.3×黒球温度

WBGTは気温が低くても湿度が高ければ高値を示します。

天気予報では気温と湿度が発表されるので、簡易にWBGT が推定できるようWBGTと気温相対湿度との関係を図2 に示しました。

この図は気温と湿度から簡単にWBGTを推定するために作成したものであり、室内で日射がない状態(黒球温度が乾球温度と等しい)としたため、正確なWBGT値と異なる場合もあることを明記しておきましょう。

ここで野池氏は室内の相対湿度を70%に固定し、屋内で日射が無い場合のWBGTを求め、それが28℃になるような室温として『室温32℃が熱中症から見た上限値である』という考えを「こうした情報は他には見当たりませんが、一定の参考にはなると思われます。」というコメントをつけた上で示しました。

次は『カビ』『ダニ』についてです。

カビは温度が5~35℃前後であれば発育します。

またダニについても、アレルゲンとなるチリダニを対象とするならば、発育可能温度は10~35℃前後となります。

どちらも室温指標を議論することに意味はありません。

そういう意味でカビやダニについては、室内湿度の目標について議論をする方が良いと思われます。

しかしカビもダニも空気中の湿気を利用する訳ではありません。

生育場所の湿気を利用するので、話はそれほど簡単ではありません。

しかも「カビやダニによる健康への影響を低減させる確定的な室内環境の指針」はまだ見当たらない・・・。

これ以上の議論は意味を持ちません。

なんだか後味の悪い結末ではありましたが、イメージや意図的な印象操作を含まない『現在の知見』では、室内湿度とカビ・ダニの発生状況の相関性は認められていないようです。

もちろん、カビ・ダニによる健康被害は認められています。

なんとなく高湿はカビ・ダニの繁殖を促し、健康に影響を与えるように思うんですが・・・。

是非、調査・研究を続けて戴きたいと思います。


建築を通じて健康を謳うためには、根拠をしっかりと明示する必要があります。

中途半端な根拠を自分の都合に合わせて『いかにも本当らしく』伝えることがあってはいけません。

今回のセミナーを通じて、強く感じました。

伝えるって本当に難しいですよね。

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